新聞広告に限らず広告全般に言える事ですが、誇大広告はいけない事ですね。
例えば「これを食べたらお金持ちになれる」といった広告は誇大広告にあたります。
では、化粧品の広告ではどんな事に気をつけるべきなのでしょう?
そもそも化粧品とは、皮膚や毛髪を清潔にしたり健やかにしたりと容貌を変える事が目的です。
ということは、その作用は消費者ごとに異なるわけで、曖昧に記載するしかなく、「必ずこうなります」とは記載できません。
誰もが広告イメージのモデルさんのようにはなれないわけです。
では「アンチエイジング(anti-aging)」という言葉はどうでしょう?
「アンチエイジング」とは、老化防止や抗年齢・抗老化・抗加齢の意味です。人によっては「若返り(抗年齢)」とも解釈できる言葉です。しかし、そんな効果が認められた化粧品は存在しないですね。そんな商品があれば、世界中の人間が若返ってしまいます。そのため「アンチエイジング」という表現は広告では使えません。
ただし「エイジング」または「エイジングケア」という言葉を「年齢・加齢に応じたお手入れ」という意味として表現するならば、広告に使えるかもしれません。なぜならそれは若返りを保証しているわけではないからです。
しかし「老化を抑える」「肌の酸化を抑える」「シミが消える」「肌の再生を促す」「シワを修復する(※1)」などの効果はその範囲に入りません。それは誇大広告の可能性があります。
(※1)シワを埋めるコンシーラーなどのメーキャップ効果は除きます。また「医薬部外品(薬用化粧品)」の中には、「シワを改善する」効果を認められたものがあります。
例えば
「これからのアンチエイジング」(アンチエイジングという言葉が使えない)
「若々しい頃の素肌、よみがえる」(その効果を保証できない)
などは誇大広告として掲載できないので注意が必要です。
また、化粧品なのか、医薬部外品なのか、医薬品なのかによっても表現できる範囲は変わります。
まずは頭髪用製品を一例とし、効能効果の表現例を化粧品・医薬部外品・医薬品それぞれで見てみましょう。
【化粧品の場合】
主な定義/人の身体を清潔にし、容貌を変え、皮膚・毛髪を健やかに保つことを目的とされ、人体への作用が暖和なもの。
頭髪用製品の効能効果の表現例/シャンプーの場合:毛髪にはり、こし、うるおいを与える。健やかに保つ、等。
【医薬部外品(薬用化粧品含む)の場合】
主な定義/吐き気、口臭、体臭、あせも、脱毛等の防止や育毛。蠅、蚊等の駆除等が目的のもの。及び承認を受けた有効成分を含むもの。
頭髪用製品の効能効果の表現例/シャンプーの場合:毛髪・頭皮の汗臭、ふけ・かゆみを防ぐ等。
育毛剤の場合:育毛、薄毛、脱毛の予防。毛生促進等。
【医薬品の場合】
主な定義/疾病の診断、治療、予防に使用されることが目的のもの。
頭髪用製品の効能効果の表現例/発毛剤の場合:壮年性脱毛症における発毛・育毛、および脱毛(抜毛)の進行予防
いかがでしょう?比べてみると、それぞれで可能な表現が違うのがわかりますね。このように、医薬部外品や医薬品として効能効果が認められているかどうかで、使える表現は変わります。
とはいえ、広告原稿を作る場合には、誇大表現を見逃したり、自分では判断がつかない場合もあるでしょう。そういった場合には、掲載申し込みを行った広告代理店に原稿内容などを見せて相談しましょう。広告代理店から新聞社の原稿審査を受けて、指摘してもらうのが確実です。
広告業界には他にも「業界No.1」といったナンバーワン表記にはその根拠を記載する必要があるなど、様々なルールがあります。一見、広告などで頻繁に使われている印象を持つ「アンチエイジング」という言葉についても、若返りをアピールするような意味合いを持つために、化粧品の広告では使えないことを覚えておきましょう。
【参考文献】公益財団法人 広告審査協会 アド・レビュー