新聞一面の下段が書籍広告で埋められているのには理由があります。
このスペースは新聞の顔と言える場所なので、新聞各社は広告クライアントを厳密に選定しています。
結果的に、知的な読者の目に晒しても問題ないと判断される書籍広告で埋められるようになりました。
新聞の読者層と親和性が高いので、書籍広告は人気があります。
新聞の読者のメインは、60~70代の男性です。
これは、総務省の白書やNHKの調査「国民生活時間調査」から明らかになっています。
年代が若いほど新聞を読む人は少なくなります。
男性の年代別、新聞を読む人の割合を見てみます。
20代男性 13%
30代男性 23%
40代男性 41%
50代男性 49%
60代男性 68%
70代男性 78%
40代ですら新聞購読者が半分もいない、20代で新聞を読むのは10人に1人!?と驚かれるかもしれませんが、この年代はオンラインで新聞を読む方が一般化していますから、純粋に新聞報道を読んでいるかというデータではないことに注意が必要です。
しかし、60代~70代の男性が圧倒的に多いことは間違いないようです。
60代以上の男性は、インターネットよりも従来メディアの信頼度を評価しています。
広告や流行など、ニュース以外の情報源も新聞やテレビをメインとしている方が多いのです。
また、新聞を好まれる方は可処分所得の多いインテリ層が多いので、書籍の読者と親和性が高いことが特徴です。
書籍を購入されるお客様へ直接訴求できることのほか、新聞に書籍広告を出すことの隠れたメリットがあります。
それは、メディアの人間に向けての情報発信です。
新聞の読者層として、他新聞、雑誌、テレビ関係者が多いことが挙げられます。
絶対数が少ないので、データとして大きく取り上げられることはありませんが、メディア関係者は必ず新聞を読んでいます。
メディア向け発信を狙うなら最も効果のあるのは「朝日新聞」です。
新聞から情報を得て二次取材を行ったり、少し期間をあけて紹介したりということは、雑誌でもテレビでも当たり前に行われています。
ある出版社では、新聞一紙に広告を出した結果、民放各局、地方新聞など、大メディアのほとんどがその月のうちに取材の申し込みをしてきたそうです。
広告費を出したのは一紙だけ。
あとはパブで取り上げられたので無料。
拡散効果が絶大で、その書籍はすぐに重版が決まりました。
新聞広告の掲載料金はすぐ回収できたそうです。
ただし、時事問題を取り扱ったルポ、話題書など、メディアが食いつきやすいネタの本であることが大事ですね。
学術書などあまり難しい本の場合は取材を受けるのは難しくなります。