モアレとは、網掛け印刷で中間色を表現した際に、意図しなかった模様が浮き出てしまう現象のことを言います。
最近は印刷技術が向上してモアレが起きにくくなってきていますが、それでも注意が必要です。
新聞広告では本機校正が出ないためです。
ここでは、簡易校正と本機校正についても解説します。
印刷を拡大すると、ドット状に置かれたインクの集合体であることがわかります。
このドットを網点と言います。版を重ねる場合は網掛けと言います。
モアレは、この点の重なり具合によって意図しない「干渉縞」が浮き出て見える現象を言います。
上の画像は、まだらに見えるモアレの例です。
二枚の版はそれぞれただのドットの集合体ですが、重なると四角い模様が出てしまいます。
もっとわかりやすい例では、下の画像をご覧下さい。
二枚のストライプを重ねた時、少しだけ角度がずれることで、波状の模様が出てしまいます。
印刷技術の向上でモアレは起きにくくなってきていますが、新聞広告の場合では今も発生しています。
新聞広告では、カタログやパンフレットを印刷する時のように、「本機校正」をとることができないためです。
本機校正とは、本番と同じ機械、同じ紙とインクを使った試し刷りです。
しかし、新聞は大量・高速印刷に適した輪転機を使用しているので、これを使った1枚だけの色校正を出すことができません。
新聞広告の色校正は平台印刷機で刷る「簡易校正」なので、本番の印刷とは結果が違うのです。
つまり、モアレの発生に気づくのは新聞が出来上がってからということになります。
モアレが出やすい条件があります。
それはスミ50%のグレーです。
遠目に見ればグレーですが、スミ50%はインクが乗らない白い部分と、インクが乗った黒い部分が、ちょうど半々の状態です。
拡大すると、50%のスミは拡大するとチェッカー模様のようになっています。
下の画像をご覧下さい。
このチェッカー模様状態が、最もモアレが出やすいのです。
昔から、デザイン業界ではスミ50%は避けるように言われており、近い表現をしたいならK49%やK51%など、少しだけずらす工夫がされてきたそうです。
新聞広告は仕上りが見えにくいものなので、できる限りリスクを減らすという意味でスミ50%は避けた方が良いでしょう。